材料力学 すっきり理解できる断面二次モーメントの意味【材力Vol. 6-5】

【サムネ】Vol. 6-5_断面二次モーメントの意味

曲げによって発生する応力、そして変形を考えるためには『断面二次モーメント』っていうものを理解しないといけない。

少し複雑に感じるかもしれないが、これはしっかり意味を理解しておこう。

いろんな断面形状に関する断面二次モーメントが一覧にまとめてあったりするが、意味を理解していないとちゃんと使いこなすことはできないだろう。場合によっては間違った結論を導き出してしまうかもしれない。

という訳で、この記事では断面二次モーメントの意味について解説していきたい。

この記事でわかること
  • 断面二次モーメントとは、断面の形状的な曲がりにくさを表すパラメータ
  • 引張・圧縮問題で言うところの『断面積』みたいなもの
  • 断面二次モーメントが大きいと曲がりにくい、小さいと曲がりやすい
  • 曲げの中心軸(z軸)から離れた場所に多くの断面が存在するほど、断面二次モーメントは大きくなる
  • 断面二次モーメントは応力や変形量(たわみや傾き)を計算するときに使う

断面二次モーメントとは・・

断面形状・寸法による曲がりにくさを表すパラメータ

ずばり断面二次モーメントとは、部材の寸法・形状によって決まる量で、その部材の曲がりにくさを表すパラメータである。

材料の変形のしにくさ(剛性と言ったりする)は、『材質』『形状・寸法』の2つの影響を受けて決まる。

材質についてはすぐに理解できると思う。同じ形状のゴムと金属の棒があったとしたら当然ゴムの方が変形しやすく、金属は同じ負荷をかけても全然変形しないだろう。このような、材質によって変わる変形しにくさを受け持つパラメータがヤング率のE や横弾性係数のG という訳だ。

一方、材質が同じでも形状が変わると変形量も変わる。大雑把に言って、大きな断面を持つ材料の方が変形しにくい。

断面二次モーメントとは、このような断面の形状・寸法によって変わる変形しにくさを表すパラメータの1つで、材料を曲げる場合に使われる。

断面二次モーメントとは・・

材料の変形のしにくさ(剛性)は『材質』と『形状・寸法』の2つの要素によって決まる。

断面二次モーメントは、『形状』的に材料の曲がりにくさを表現するパラメータである。

引張・圧縮問題との比較

では、より曲げモーメントについて理解・実感していくために引張・圧縮の場合と比較してみよう。

引張・圧縮の場合

引張・圧縮のときには、断面二次モーメントなんていう難しいモノは登場しなかった。が、引張圧縮の場合ももちろん断面形状によって変形のしにくさは変わる。引張圧縮の場合に、このような断面形状による変形のしにくさを表すパラメータとして使っていたのは何だったかと言うと、それは『断面積』だ。

引張圧縮_断面形状と応力・変形の関係
引張圧縮_断面形状と応力・変形の関係

引張・圧縮の場合の応力の式、変形(伸び・縮み)の式を思い出すと分かるように、断面積が大きくなるほど発生する応力は小さくなり、変形量も小さくなる。逆に断面積が小さいと、応力も変形量も大きくなる。

引張・圧縮の場合はとってもシンプルで、感覚的にもすごく理解しやすかったと思う。

曲げの場合

じゃあなぜ曲げの場合は『断面積』ではなく、『断面二次モーメント』を使わないといけないのか?

下のような例を見てみよう。

誰でも下敷きを曲げたことぐらいあるだろう。下の例では、横長に持った下敷きを曲げる場合と縦長に持った下敷きを曲げる場合を比較している。誰でも簡単にイメージできると思うが、この2パターンではびっくりするほど曲がりにくさは違う。同じ断面積なのに、だ。縦長に持った右側の例の方が、当然曲がりにくい。

下敷きを曲げる
下敷きを曲げる

つまり、曲がりにくさは断面積だけでは決定できず、形状の影響を強く受ける。正確には、曲げの中心軸(図のz軸)に対する断面形状と寸法によって決まる。なので、引張・圧縮の場合とは違い、断面積だけで曲がりにくさを表現できないので、断面二次モーメントを使う必要がある。

まとめると、曲げの中心軸(上の図でのz軸)を基準として見た断面形状・寸法によって決まる曲がりにくさを表すパラメータが断面二次モーメントという訳だ。

ポイント

断面二次モーメントは“引張・圧縮における断面積”みたいなもの。

曲げの場合、断面積だけでは曲がりにくさを表現できないので、断面二次モーメントを使う。

断面二次モーメントの大小 ー 曲がりにくい? or 曲がりやすい?

では断面二次モーメントのことがおおよそ理解できたところで、断面二次モーメントの大小と曲がりにくさについて整理しておこう。

断面二次モーメントが大きくなる場合、同じ負荷(曲げモーメント)が作用しても曲がりにくくなる。曲げによる変形量が小さくなるということだ。また、発生する曲げ応力も(多くの場合)小さくなる。なので、(寸法・重量やコストの制限がなければ)安全側にシフトすることになり、良いことだ。

反対に断面二次モーメントが小さくなる場合、曲がりやすくなることを表しており、変形量は大きくなるし、曲げ応力も(多くの場合)大きくなる。なので、破壊のリスクが高まることになる。

断面二次モーメントの大小と曲がりにくさ
断面二次モーメントの大小と曲がりにくさ

断面形状と断面二次モーメントの関係

どんな形状のとき断面二次モーメントが大きくなる?

じゃあどんな断面形状にすれば断面二次モーメントを大きくすることができるだろうか?

まず下の絵を見てほしい。図のような向きに曲げるとき、設定した座標系と断面二次モーメントの定義に注目してほしい。

断面二次モーメントの定義
断面二次モーメントの定義

これの意味は、断面上のすべての位置について “y2” を足し合わせていく(全断面に対して積分する)ということなんだけど、まあこの積分の意味は分からなくてもいい。ここで言いたいのは、上図のような向きで曲げるような絵を描いたとき、断面二次モーメントとは『曲げの中心軸であるz軸からy方向にどれだけ離れたところに断面が存在するか』を表しているということ。

つまり、縦方向の曲げに対して、横方向(z方向)への断面の拡がりはあんまり断面二次モーメントには効かなくて、縦方向(y方向)へ拡がった形になる方が断面二次モーメントを大きくする効果が極めて大きいってことだ。

だから下敷きの例のように、横長に配置した場合よりも縦長に配置した場合の方が、断面二次モーメントは極めて大きくなり、曲がりにくくなるってことだ。

同じ断面積で形状が違ったら1(断面二次モーメント)
同じ断面積で形状が違ったら1(断面二次モーメント)

このように、縦方向に曲げる(この言い方はあまり良くない気もするが)ときには、縦方向の寸法が断面二次モーメントに強く影響するので、縦長な形状になるほど断面二次モーメントが大きくなると考えて良い。


また、全体的な縦長・横長の比率は変わらなくても、相対的にz軸から離れた場所に多くの面積がある方が断面二次モーメントは大きくなる。下の例を見て、このことも理解しておこう。

(下の図の場合ももちろんz軸を中心にy軸方向に曲げることを想定している。)

同じ断面積で形状が違ったら2(断面二次モーメント)
同じ断面積で形状が違ったら2(断面二次モーメント)
ポイント

縦方向に曲げる場合に、横長な断面形状よりも縦長に拡がった形状の方が断面二次モーメントは大きくなる。

どう使う? ー 曲げ応力や変形量の計算に使う

引張・圧縮の場合の『断面積』がそうであるように、断面二次モーメントは曲げの応力や変形量を計算するために使う

ある曲げモーメントが働く棒に発生する応力と変形は下のような形で表せる。引張・圧縮の場合との類似性にも気が付いてほしいので、引張・圧縮の場合の式も合わせて載せている。

引張・圧縮と曲げ_応力と変形の計算
引張・圧縮と曲げ_応力と変形の計算

まず難しいことを考えずに式だけ見ると、非常に引張・圧縮問題のときと似たような形になっていることが分かると思う。引張・圧縮問題における『断面積』が持つ役割と同じように、断面二次モーメントが大きいほど応力も変形も小さくなるような式の形になっている(まあこれは最初に説明した通り)。

まとめ

断面二次モーメントって言葉も聞きなれないし、いまいちどういう意味を持ってるのか分かりにくいことと思う。でもそんなに怖がる必要はない。

まあ要するに、形状的な曲がりにくさを表しているパラメータってことだ。引張・圧縮における断面積みたいなものっていう風に捉えてもらえば、とても理解しやすいのではないだろうか。

この記事では断面二次モーメントの具体的な使い方については深く触れていないが、これ以上は曲げの応力分布についてさらに詳しく見ていかないといけないから、この記事ではここまでにしておこう。

次の記事で、曲げ応力について詳しく解説したいと思うので、断面二次モーメントの持つ意味について分かった上で次の記事もぜひ読んでみてほしい。

この記事でわかること
  • 断面二次モーメントとは、断面の形状的な曲がりにくさを表すパラメータ
  • 引張・圧縮問題で言うところの『断面積』みたいなもの
  • 断面二次モーメントが大きいと曲がりにくい、小さいと曲がりやすい
  • 曲げの中心軸(z軸)から離れた場所に多くの断面が存在するほど、断面二次モーメントは大きくなる
  • 断面二次モーメントは応力や変形量(たわみや傾き)を計算するときに使う

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