学会発表は、研究者にとって日々の研究成果を発表する大切な舞台ですが、ある意味日常的な仕事とも言えます。
しかし、学生にとっては非常に緊張する大舞台でしょう。
難しい専門領域の知識を蓄え、日々の実験結果の解釈・考察を練り、慣れない発表を大人数の前でやる訳ですから、緊張するのは当然です。
「こんなショボい発表で大丈夫かな??」「ボコボコにされたらどうしよう??」という不安にかられる学生も多いでしょう。
この記事では、なぜそのような状況が起こるのか、そして仮に厳しい質問が飛び出しても大丈夫な理由や、万全の対策について具体例を交えながら解説します。
これを読むことで、あなたの不安が少しでも和らぎ、次回の発表に自信を持って臨めるようになることを目指します。
夢へ駆ける少女の姿に感涙!!
12巻連載中
「司先生は…っ わたしが世界一になりたいって言ったら手伝ってくれますか?」
2025年1月アニメ化、そして米津玄師氏が主題歌を逆オファーしたということで話題の本作。
「自分には何もない」と卑下する小さな少女が「金メダルを獲れるスケーターに絶対になりたい!」と夢へ向かって駆け出す。彼女のひたむきで熱い想いに胸を打たれること間違いなしです。
ebookjapanならなんと3巻まで無料で読めてしまいます!まだ全然知らなかったという人にもアニメの放送を待ちきれないという人にもチャンスです!
私・ぽるこが全力でオススメする極上の漫画たちを紹介した記事です。思わず読みたくなる漫画が見つかるかも!
Contents
しょぼい学会発表でボコボコとは?
学会発表とは、研究者が自身の研究内容や成果を同じ分野の大学や企業の研究者に向けてプレゼンテーションする場を指します。学会発表の場は、個人としては研究の意義やインパクトの大きさを示し、研究する力量をアピールする場になります。また、業界全体としてはそれぞれが得た知見を共有し、さらに前進していくための重要な場です。
通常、口頭発表やポスター発表といった形式が採用されますが、一般に「学会発表」と言えば「口頭発表」のことを意味するでしょう。
口頭発表の場合は発表後に質疑応答の時間が設けられます。ここでは、あなたの研究に対する意見や疑問が投げかけられ、議論が活発に行われます。これが苦手な人も多いかもしれませんが、質疑応答の時間こそ学会発表の意義と言ってもいいくらい重要な時間です。
学会発表は単なる報告の場ではなく、フィードバックを受ける貴重な機会であり、発表者としての成長につながるチャレンジの場とも言えます。研究内容の独創性や理論的な裏付け、発表者のプレゼンテーションスキルなど、多角的な評価が行われるため、準備と工夫が求められる重要なイベントです。
さて、「学会発表でボコボコになる」という表現は、質疑応答の際に予想外の厳しい質問が連続し、発表者が回答に窮する状態を指します。
具体的には、聴衆や審査員から「もっと深い考察が必要」「データの裏付けが不十分」といった批判的な質問が次々と投げかけられ、『アワワワワ…』となるような事態です。こうした状況は、資料の準備不足や発表の自信のなさが露呈する結果とも言えます。
また、質問者の性格や言葉遣いが攻撃的であった場合、発表者自身のプレゼンテーションスキルや準備不足などの悪い印象がことさら強調され、実際のプレゼンの出来以上に「ボコボコにされた」ような印象を残してしまう場合もあります。
こうした経験は、初めて学会に臨む人や経験が浅い人にとっては特に怖いものですが、実は誰もが通る道であり、そこまで心配しすぎる必要はありません。そして、ボコボコにならないための改善の余地は十分にあります。
学会発表で「ボコボコ」にされる原因は主に以下の三点に絞られます。
準備不足
身も蓋もない話ですが、やっぱり原因の一番手はこれでしょう。
知識をいきなり増やすことはできませんが、現時点での最高のプレゼンを行うための準備を行う余地は大いにあります。
聴衆に伝わりやすいスライドになっているか?話し方や間の取り方は適切か?想定される質問への対策を十分に練っているか?このような準備が足りていないのであれば、ボコボコになっても不思議ではありません。
当事者意識の低さ
「なんでこの方法を採用したのか?」みたいな研究の前提を尋ねるような多くの質問に対して、学生発表者が答えられないのは当事者意識を持っていないからです。普段から自分事として研究を進めているか?ということです。
指導教官から「これを使う」と言われたら何の疑問も持たずにうなずいて実験を行う。それが『当事者意識の低さ』であり、基本的な質問に答えられない大きな理由の一つと言えます。
自信のなさ
自分の発表に自信がないと、どんな質問でも難しい質問をされているような、怒られているような感覚になってしまう場合があります。
そうすると質問に対する反応が鈍り、説得力に欠ける回答になってしまいます。(回答の内容が正しくても、自信が無さそうに答えることで聴衆に疑念が生じる可能性もあります)
これらの要因は、どれも(多少は)改善が可能なことであり、対策次第で状況は大きく変わるものです。
次の項では、対策の前にまず「ボコボコにされることをそんなに心配しすぎなくても良い」理由を説明しましょう。
ボコボコにされても大丈夫な理由
難しい質問が来るのを不安に思う気持ちは分かりますが、実は質問が来ること自体が良い発表をした一つの証拠だと言えます。
考えてみてください。
実際にそういう現場を見たことがある人は分かると思いますが、質問が全く来ない発表の方がよっぽど辛いです。質問が来ないということは(一概には言えませんが)、聴衆にとって「質問するほど気になるような内容じゃない」「中身がよく理解できない」ような発表だったということです。
質疑応答で活発に質問が飛び出すという現象は、発表そのものが聴衆の関心を引いている証拠です。多くの聴衆があなたの発表内容に興味を持ち、さらなる疑問や探求心を持っていることを意味し、前向きなサインとして捉えるべきです。
「好き」の反対は「嫌い」じゃない、「無関心」だ。なんて事よく言いますよね。
大御所の先生から難しい質問が来たとしても「無関心」よりはよっぽど良いと思いましょう。あなたの発表はその人の関心を惹いたということなんですから。
どんな人にでも未知のことは必ずあります。未知のことがなければ研究なんてやる必要ないでしょう。
だから質問者のどんな質問にも完全に答えることなんて、現実的には難しくて当然なのです。
ましてあなたが学生の場合は、聴衆はあなたよりもたくさんの経験と知識を持つ玄人たちです。そりゃあ答えられない質問があっても不思議じゃありません。つーかあって当然です。
誰にだってそういう事態が起こるのならば、そんなことを心配しても仕方ありません。大事なことはその対応の仕方です。
ただ黙って立ち尽くすだけなのか、自分に分かる範囲の知識でできる限りの議論をするのか。対応の仕方で聴衆へ与える印象は大きく変わります。
厳しい質問や批判的な意見は、一見マイナスの経験に感じられますが、実はそれが次回の発表に向けた改善のための貴重なフィードバックとなります。
発表後に質問される部分は、『やっぱりここがみんな気になるよね』という点だったり、逆に『そんな視点があったか』という点だったりするはずです。
どちらにしても、あなたがこの質問を難しいと感じたのであれば、それが現時点でのあなたの研究の弱点な訳です。一流の専門家が「ここが気になるぞ」というポイントを指摘してくれるのですから、こんな効率的なフィードバックはありません。
つまり、厳しい質疑応答は、一歩先に進むためのステップとして捉えることができ、結果として自己成長を促す大きなチャンスなのです。
学会の質疑応答の場では、必ず進行役(座長)が存在し、議論の流れをコントロールしています。
発表と質疑応答が順調に進行することに責任を持つのは座長です。
なので、ある意味暴論かもしれませんが、場が荒れたとして発表者のあなたのせいではありません。
もし質問者の質問の意図がわかりにくかったり発表者との間で意思疎通がうまく行っていない場合に、そのコミュニケーションを助けるのも座長の役目なのです。座長は適切に議論を整理し、質問の秩序を保つために介入する役割を持っています。
したがって、発表中にもしも「ボコボコにされた」と感じたとしても、その背後には座長の管理責任があることを理解しておくと、精神的な負担が軽減されるのではないでしょうか。
ボコボコにされないための対策
さて仮にボコボコになったとしても心配しすぎなくて良いよ、ということを丁寧に説明しました。
が、やっぱり避けられるものなら避けたい。それが人情ですよね。
ではここからは、知識を増やす以外で極力ボコボコにならないようにするにはどうしたらいいかを説明しましょう。
どんなプレゼンでも『聴衆はどんな人たちか』というのは極めて重要なことで、一番初めにチェックすべきことです。
学会であれば基本的にその領域の専門家が集まっているはずですが、どの程度自分の研究に近い人たちが集まってくるのかは、その学会の性質によります。
例えば「機械工学全般の人が集まる学会」もあれば、「機械工学の中でも材料力学部門だけの人が集まる学会」だったり、「材料力学の中でも特定の条件下の強度特性に特化した専門家だけが集まる学会」もあります。
それぞれの場合で、発表資料やスライドの内容を聴衆の属性に合わせて調整することで、より分かりやすいプレゼンテーションが可能になります。さらには聴衆の属性によって想定される質問は変わってくるはずで、それに応じた質問対策が重要です。
聴衆から(発表者にとって)意味不明な質問が来て、お互いの意図が噛み合わずに炎上していくケースがありますが、これの大きな原因は『そもそも発表内容が正しく伝わっていない』ことだと言えます。
また、理解しにくい・洗練されていない発表そしてスライドはどうしても準備不足ややっつけ仕事の印象を与えてしまい、聴衆に余計なヘイトを溜めてしまいます。その結果、敵意のある攻撃的な質問を受けてしまうこともあるでしょう。
これを避けるためには、とにかく聞き手目線の分かりやすいスライドを作ることが重要です。
結論やそこに至るまでの道筋が誰にでも分かるようなストーリー構成を練り、シンプルかつ効果的な図表や模式図を差し込み、聴衆がストレスなく内容を理解できるように工夫しましょう。
発表においては、研究内容自体のレベルの高さなんて事よりも『ちゃんと相手に伝わるプレゼンをできているか?』の方が重要だと僕は考えます。どんなに崇高な研究をしていても、伝わらなければ学会への貢献度はゼロです。
一味違うスライドを作りたい君へ!
「聴衆に伝わるシンプルなスライドデザインを指南する極上本」
プレゼンをする機会があるすべての人に読んでほしい良書です。特に学生さんや初心者の方は必読と言って良いと思います。
ぼくのスライドデザインは(自分で言うのもなんですが)そこらの大学の先生の中で群を抜いて上手いと思うのですが、その礎はこの『プレゼンテーションzen』によって形作られたと言っても過言ではありません。『プレゼンテーションzen』と出会って、ぼくのスライドデザインの世界は完璧に変わりました。
もしあなたがプレゼンの初心者ならぜひこの本を開いてみてほしいです。この本で得たインスピレーションをスライドに反映させるだけで、『こいつはちょっと違うな』と周りの人に一目置かれること間違いなしです。
練習を重ねるというのはセリフを覚えることではありません。よく学生の発表で、覚えてきた台本を棒読みしているような発表をみかけますがはっきり言ってあんまり印象はよくありません。
プレゼンは音読する場ではありません。トークショーであるべきです。
僕が理想だと思うのは芸人さんの漫才や漫談みたいなものです。彼らは死ぬほど繰り返し練習していて当然喋る内容は暗記しています。でも本番ではそんなこと微塵も感じさせず、ダイナミックで臨場感のあるトークを見せてくれます。
学会発表もかくあるべきで、間の取り方や強弱をつけるポイントなど細部までデザインした上で徹底的に練習して臨むことが重要です。こうすることで聴衆の集中を促し、より伝わるプレゼンへと変わっていきます。
また、指導教官や友人など人前でリハーサルすることももちろん大切です。「この部分が分かりにくい」だとか「ここの進み方が速いからもっと丁寧にした方が良い」だとかフィードバックを活かして、改善していきましょう。
学生の場合、どうしても学生対先生の構図になってしまうため錯覚してしまうかもしれませんが、質疑応答はテストではありません。卒論や修論の口頭試問(ディフェンス)の場合は少し事情が異なりますが、少なくとも学会発表の場合は発表者と質問者は対等であり、質問者はあなたのことを試している訳ではありません。
テストを受けているような感覚に陥ってしまうと、質問に対して何か正確な答えを無理矢理にでも捻り出さなければならないという気持ちになり焦ってしまうかもしれません。
ですがそうじゃないのです。質疑の時間はすなわち議論の時間であり、発表者がどれだけ正しい知識を持っているかをテストされるような場ではありません。
即答できないような難しい質問が来たとしても、『その点については現時点では分かりません』と正直に伝えた上で、たとえば質問者の指摘が非常に重要な視点であることやその理由、今後どういうことをしていくと解明できる可能性があるか、質問への直接的な回答ではなくても同類の実験結果や文献を紹介するなど、現時点でわかっている情報を元にできる範囲の説明をすれば議論としては成り立っています。
そしてそれが、学会発表という場における誠実な対応というものです。
正確な回答を返すことに焦ってしまうと何も良いことはありません。よく知らない事を口走ってしまったり、黙ってしまったり、挙句には(本意ではないとしても)嘘をついてしまったり・・こういう自体を避けるためには議論を楽しむ姿勢を持ち、リラックスした気持ちで臨みましょう。
これは内容とは関係のない話ですが、とても大事なことだと思います。
発表中の表情や態度は、聴衆に強い印象を与えます。どんなに緊張していても、できるだけリラックスし、笑顔を忘れず、落ち着いた態度でプレゼンテーションを行うことが重要です。
緊張しているが故にボソボソと自信なさげに喋り、聴衆の方を全然見ようともしないような人よりも、大きな声とさわやかな笑顔で聴衆に向き合って話をする人の方が好印象なのは間違いありません。
質問に対して『分かりません』と答えるにしても、人によっては笑いが起き、人によってはため息が出たりするのも、話し方や表情といった発表者の態度が大きく関係していると思います。
態度一つで、聴衆とのコミュニケーションが円滑になり、会場全体の雰囲気を明るくすることも可能なのです。
まとめ
学会発表に臨む際、「しょぼい」と感じたり、「ボコボコにされるのでは」という不安は誰もが抱くものです。
しかし、実際には質疑応答で活発に質問が飛び出すのは、あなたの発表が聴衆の興味を引いている証拠でもあります。また、厳しい質問に対して誠実に対応することで、次回以降の発表スキルが向上する貴重な経験となります。
今回紹介した理由や対策をしっかり実践すれば、どんな状況でも自信を持って発表に臨むことができるでしょう。失敗や厳しい質問は成長の糧。あなたの学会発表が、今後の研究活動やキャリア形成に大きく貢献する一歩となることを信じて、前向きにチャレンジしていきましょう。
理工系人材必読の超おもしろ漫画!!
連載中
『まずは音を出して 音を出さなきゃ音楽は始まらないのよ』
今、忘れかけていた夢への一歩を踏み出す!
いつの間にか多くの人は昔描いた夢のことを忘れてしまう。『宇宙兄弟』は“夢を追うのに遅すぎるなんてことはない”ということを教えてくれます。キャリアや進路に悩むすべての人の背中を押してくれる言葉にあふれている『宇宙兄弟』は多くの社会人や大学生から大絶賛されています。
宇宙開発や飛行士の活動をリアルに描く本作は、理工系の人の知的好奇心を刺激し、未知の問題へ向き合う姿勢を学べる必読書と言っても決して過言ではありません!
ebookjapanなら3巻まで無料で読めるので、気になる人はぜひ読んでみてください。
私・ぽるこが全力でオススメする極上の漫画たちを紹介した記事です。思わず読みたくなる漫画が見つかるかも!